AYUR JOURNAL – 第1章:なぜ、アーユルウェルネスなのか

元気そうに振る舞うのが、癖になっていた頃がありました。
仕事も忙しく、人にも気を遣い、「ちゃんとしている私」を演じるのが上手になっていたのだと思います。
でもある日、身体が、止まったのです。
メニエール病と診断され、ぐるぐると回るめまいと耳鳴り。
処方された薬では根本的な改善には至らず、頭ではわかっていても、心と身体がちぐはぐなまま。
このままではいけないと思い、わたしは一度、キャリアを手放しました。
そして、向かったのは海外の山奥。
電波もない、自然の中で、畑に生えているものを食べ、アーユルヴェーダに身を委ねたのです。
薬ではなく、自然のリズムに合わせた暮らし。
食事、呼吸、眠る時間、感情との向き合い方…。
日々を整えることが、こんなにも深く癒してくれるなんて思ってもいませんでした。
このとき、わたしの中で何かがはっきりと変わりました。
アーユルヴェーダは「治療法」ではなく、「生き方の哲学」だということ。
自分を大切にするということは、派手なご褒美ではなく、
日々の小さな選択を愛することだと知ったのです。
沖縄という地で、この体験を根づかせたいと思ったのは、
ここにもまた“癒し”ではなく“生命の記憶”があったから。
島の風、土の香り、泡盛の発酵の力、長寿を育む暮らしの知恵。
わたしはそれを、アーユルヴェーダと重ねて「アーユルウェルネス」と呼ぶことにしました。
ここは、スパでもリトリートでもありますが、
何よりも“わたしに還る場所”であってほしい。
五感をゆるめ、自分の中の自然を思い出すような時間。
アーユルウェルネスとは、
誰かに癒してもらうのではなく、
自分の中の“自己治癒力”を信じなおすこと。
この体験が、今、誰かの心と身体をそっとほどく手がかりになりますように。